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【読書】翻訳は奥深く繊細で果てしなく面白い:翻訳書簡「赤毛のアン」をめぐる言葉の旅

翻訳は、思っていたよりずっと奥深くて、繊細で、果てしなくて、そして面白い。

今回紹介する本の冒頭”はじめに”の中にある一文。読みながら、このことを正に実感する本でした。

英語好きの俳優・上白石さんが、文芸翻訳家の河野さんから、二人の往復書簡によって手ほどきを受けながら、名作「赤毛のアン」の翻訳に挑戦する内容。

流れは、こんな感じ

  1. 上白石さんが、毎回違うお題の英文(7~8行程度)の訳を送付
  2. 河野さんが、上白石さんの訳に対するコメントとアドバイスを返信
  3. 上白石さんが、見直し訳を送付
  4. 河野さんが、見直し訳の総評コメントと、翻訳者の試訳の紹介 

翻訳者のコメントは温かく、そして、翻訳をするうえでの実践的なアドバイスが満載。

また、最後に紹介される、文芸翻訳家の試訳が、いつも痺れるくらいに鮮やか。

例えば、「Wonderful」を「夢みたい」と訳す発想。これには鳥肌。

翻訳って、奥深く、繊細で、そして面白いと感じる一冊です。

 書名 翻訳書簡「赤毛のアン」をめぐる言葉の旅

 著者 上白石萌音、河野万里子

 発行 2022年

おすすめポイント

  1. 赤毛のアン」のあらすじが掲載されている。「赤毛のアン」を読んだことのない人でも、ある程度背景が理解することができます。
  2. 各章の冒頭に、お題の英文(7~8行程度)も掲載されている。自分だったらどう訳するかな?と自分なりの翻訳を考えることができる。「赤毛のアン」の英文は、1908年に書かれ、文体が古くて難くて、(自分には)とても読みにくい。でも、英文語注や解説が、英文下にあり、英語初級者にも親切な構成。
  3. 河野さんの訳と上白石さんの訳の読み比べ、河野さんのアドバイス、これらは翻訳に対する気づきが沢山ある。翻訳のコツも満載。この単語やフレーズをこんな風に翻訳するのか~っと、毎回発見がある。
  4. 初期のころの上白石さんの訳は、学校で習った「英文和訳」風の堅い文章。それが、徐々にこなれてくる感が、上白石さんの成長が伝わって、なんか嬉しい。

原文に寄り添いつつ、時には飛んで、読者により深く伝わるように訳す。翻訳はホントに奥深い。

この本を知ったきっかけは、NHKの番組で、上白石萌音さんが「赤毛のアン」の翻訳に取り組んだ様子が本になったとの紹介を、視聴したこと。

いい本に巡り合えました。

この本をきっかけに、「赤毛のアン」に興味を持ち、50歳過ぎで初めて読んちゃった。そしたら、主人公の天真爛漫な行動にワクワクし、周りの大人達の溢れる愛にウルウル。長年読み続けられてきた本には、理由があるんだなぁ~。

では、では

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